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江國香織について

10代の頃から読み続け、今でも変わらず面白いと思える作家は少ない。

江國香織を初めて読んだのは確か、高校2年の頃だった。あの時の私は1年間で100冊の本を読むと決めていて、しかも1冊読んだ作家の別の作品はなるべく100冊の中に入れないようにしていた。100人の著作を読む、と言い換えてもよいのだろう。

初めて読んだ時から、この人の物語の印象はあまり変わらない。どの作品にも独立した世界観があり、なのに必ずこの人が描いた作品だとどれを読んでもわかる文体が1本筋を通している。

個人的に、この人の一番の魅力はその文体だと思っている。「やわらかく冴える」とか「思い出はおはじきのように丸く可憐」とか、一見つながらないような単語が1つの文に効果的に収まっているので、文章を読んでいくうちに陶酔のような感覚を覚える。それを感じたくて読む。

少女が主人公のものより、女性が主人公の話の方が好きだ。完全に自分の好みの話で、少女の危うさより、女性の危うさを描く方が、この文体という魅力によりマッチしていると思っている。

あと、これも個人的な印象なのだが、読書の習慣がある女性は必ず一時期、どこかでこの人の話ばかり読む時期が訪れる。我が妹も、友人も、私自身もそうだった。必ず「江國にハマる」時期があった。

文字と文字の間に透明な自分が漂うような、物語に酔う感覚に身を任せるのはとても心地が良い。そういう贅沢な時間を求める時期が、多くの女性にあるのだろう。個人の偏見だが、男性が本を読むときは、もっと現実的な目的を持っていることが多いように思う。どちらも否定されるものではない。前者の読み方の嗜好に合うのは江國の書くような物語世界だ、というだけの話である。

 

ずっと好きなので、この人が書いた本はほぼ読んでしまった。

新刊が出るのをのんびり待っている。

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