本を勧めるとき
読書が好きだというとオススメの本を聞かれることがよくある。私もよく聞く。
必ず返答に一瞬詰まるし、私が聞いた人も一瞬困っている。そして聞き返す。
「どんな本が読みたいですか?」
返ってきたジャンルによって推せる本が異なる上に、なにも聞かずにもしその人の地雷になる話を勧めてしまって本そのものを嫌いになられてしまったら、と思うと迂闊には題名を挙げられないものである。
個人的には「重くても平気か」と聞いてYesなら高野和明、恋愛が読みたいなら江國香織、ファンタジーなら森見登美彦、スカッとしたければコメディ寄りの奥田英朗辺りを勧めることが多い。
読書というのは贅沢な趣味だとつくづく思う。時間が無ければ出来ないし、読んでいる間は他のことは出来ない。
得てして他人の時間を頂戴するアドバイスになる以上、迂闊なことを言えない、と毎回ちょっと緊張する。それでも聞いてしまうのは、読んだことのない本を読みたいからだ。読んで今後の選択肢を広げたい。目が見えるうちは本を読み続けたい。
結果、人にも良いものを勧められて本好きを増やしていければ、などとちょっと夢のようなことを思っている。